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建設実務の視点

Aspect of construction businnes

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1.建設会社の経営改革とは

 これほどの地盤沈下を目の当たりにすることはそうないのかもしれない。 建設会社の現況は徐々に緩み、沈んでいく泥土の上に立つ様だ。このぬかるみ からの脱出は今後、「業態変革」を目指す経営的な取り組みとならざるをえない。 一人親方のワンマン会社は、その眼力をあてに力ずくで経営の舵を切る。代を 重ね、世に言う老舗と言われる会社は、危機対策が空回りしている。いず れも初めて経験する本格的な競争社会の中で、戸惑う姿なのかもしいれない。 その結果は誰にも分からないが、市場は、本来参加者の責任により構成される ものであり、事業の選択は企業個々が判断する。市場での立ち振る舞いは自由 であるとともに、自己責任が基本だ。

 戦後の復興から全国総合計画が国づくりの総合プランとして策定され、建設 会社には疑いのないビジョンがあった。約束された技術を保有し、約束された 仕事があった。本社、支店、子会社が同じ技術を使い、同じ仕事をした。違い は請負う工事の規模ぐらい。でも、もうない。よく考えてみると、建設産業に はビジョンも、方針も、理念も、そして日常の業務システムや行動規範まで 用意されていなかった。この何十年もの間、建設業界のビジネスフローはまったく 変わっていないのだ。

 そこから脱出を試みる経営者も現れ始めたが、自由に戸惑う人の方が多い。 実は経営改革への取り組みは、そんな状況をとらえる視点から始まるのでは ないだろうか。

 中小建設業者の経営計画をみると、中期計画として予算目標といった定量計画 が主で、経営政策がまったく含まれていない。市場の変化を十分に熟考したもの ではなく、あくまで経営が成り立つための目標値を示しただけだ。 これでは、絵に描いた餅になる。

 いま求められているのは、経営改革へ向けた新規事業の具体化や経営課題の実現 方策を具体的に示せるかという点だ。これまでの経営計画は計画と実行、目的と 手段が混同されていた。計画の策定が目的となり、それを実行する具体策が描き 切れていない。

 さらに言えば、結果こそがすべてであって、各施策はあくまで過程にすぎない。 企業業績の改善と、コストダウンなど経営課題の解決が最終目標なのだ。例え経営 計画などなくても、業績が良ければ企業経営にとって何の問題もない。業績を向上 させること、企業はその一点に経営資源やノウハウを今こそ集中させるべきなのだ。

 建設会社は経営者不在と言われる。産業文化や近代化の遅れを指摘する人もいる。 正確に言えば、遅れているのではなく、止まっていたのだ。遅れとは流れの中にあって のことで、止まっていたから動きだそうとしても足はもつれ、筋力が足りない。

 行政は供給過剰構造を直視し、その改善に向け、動きだしている。受注競争のハードル を上げ、企業を評価する物差しを変える。こうした動きが今後、確実に進んでいく。 供給過剰状態を解消するためには、競争環境をより高めるのが、一番の近道だからだ。

 そうした環境の中で、中小建設業者は、どのようにした生き残りを図るのか。 そのヒントが生活者の視点で外を見渡すことだ。発注者ではなく、エンドユーザー(納税者) のニーズを見ることだ。だが、そのニーズは建設業界のテーマではないのかも しれない。だが、そこであきらめてしまうと、新たなビジネスを開くことはできない。

 もともと建設会社は地場産業として地域に密着し、生活の視点を共有していた。 地域が求める社会資本を整備していたからだ。今だって地域コミュニティーが必要 としているものが、必ずあるはずだ。それを建設会社がどこまで取り込むことがで きるかが勝負だ。

 魅力ある産業は、決して市場の大きさだけを指すものではない。産業自体に動き があり、鼓動があればその振動に回りも呼応する。改革への志があれば、人が集まり 相乗が生まれる。魅力的な産業と言われるような新しいビジネスモデルをつくり出す。 経営改革とは、そういうものだ。


2003年4月14日(月) 掲載
日刊建設工業新聞コラム「所論/諸論」より(1年間連載したものに一部加筆訂正)


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