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建設実務の視点

Aspect of construction businnes

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2.ITプームが残したもの -建設会社のネット活用とは-

 一時のITブームも去り、e-ビジネスともてはやされたIT系のベンチャー 企業はもとより既存の事業会社によるITを活用した新たなビジネスモデル化 への取り組みも平静を取り戻した感がある。ブームに乗っただけのリアリティ を欠く事業モデルは既に見受けられなくなった。しかしながらインターネット の普及には目覚しいものがあり、仮想商店街やサイバー広告など堅実にその地 歩を固めたビジネスモデルも数多い。企業のネットワーク環境もクローズされ た通信網から完全にインターネットをベースとするものへ取って代わってしまった。 コミュニケーション手段としてのグループウエアの社内導入やEメールによる 社外との連絡も今や当たり前の道具となっている。メールアドレスの記載され ていない名刺は珍しいほどだ。先進的な企業はインターネットをベースとする システムへ適合するよう業務プロセスの改革を始めている。またインターネット を通じてこれまで入手や取り纏めに苦労した情報の多くが手に入る。低コストで 広く共通の手段として利用できるインターネットは今後益々発展していくもの と考えられる。

 建設業界に目を転じると、インターネットの普及と共に大手建設会社を中心 にホームページの公開や協力会社のネット公募などが始まった。建設資材だけ ではなく外注発注も含めたマーケットプレイスも登場するなどインターネット の可能性を期待させるものであった。建設のポータルサイトを目指すものや、 建設現場におけるプロジェクトマネジメント力の強化を狙ったシステムサービス など様々なインターネット活用も試みられた。しかしながらネットブームの終 焉と共に一時の盛り上がりを欠きつつある。その理由には業務適合性の課題や 建設会社の情報基盤の未整備、情報リテラシーの不足など様々な意見がある。 確かに、建設会社の市場競争力のひとつに「価格」がある中、コストがガラス 張りの米国に倣ったマーケットプレイスが成り立つかどうかは当初より疑問視 されていた。また建設資材の商流は思いのほか強固だ。一般消費財のような商流 改革は進み難い。可動性が高く労働集約型の産業におけるIT化の限界も指摘 された。手間仕事を任せるための担保は実ビジネスでは相当重い。現在ネット 公募を継続している会社は半分あるか。大手建設会社を中心にいまIT投資へ 振り向けられてられているのは、従来の業務形態をインターネット上で利用可能 とする置き換え処理と言える。例えば電子購買と言えば聞こえは良いが、ペーパー の電子化。それでも省力化効果は大きい。大手には実を取る力がある。

 残念なのは、名刺に刷り込まれたアドレスへ送ったメールに返事が来ないよ うに、中堅中小の建設各社が得たその実の少ないことだ。メールにもビジネス の礼節やルールもある。ネットブームは一時のお祭りの面も確かにあったが、 建設業へのいくつかの提案がなされたと考えられないか。何ができて何が足り ないか。そして将来へ何を実現するか。取るべき実は多かった筈だ。

 建設業界に複数のネット調達のサイトが立ち上がりつつあった時、サプライヤー から出された批判は、複数のサイトへ参加することの手間と非効率に対してだった。 ひとつのサイトへ入れば全てに対応できるようサイト側で解決してほしいと言う ものだ。つまり面倒を掛けずに公平に皆が参加できる環境づくりを願う。発注者 による電子入札においても同様の要望があった。
 本来サイトの主催者(バイヤーとしてのサイトの利用者)は、競争原理を働か せ低コストで高い品質の獲得を期待している。その中に残れるサプライヤーのみ が競争の勝利者となるし、サイトの主催者も自社のサイトが優れた市場を形成す ることで、自社のビジネスの勝者となる。つまりサイト自体の競争力を高めるこ とも重要となる。バイヤーが競争に勝ち残るための道具として主催したのがサイト であり、この当たり前な目的が理解の内にない。確かに市場への参加は競争の意 思あるものには公平が基本だ。但し手間の省力化と効率化はサプライヤーの経営 努力でなければならない。それも期待された競争力のひとつだからだ。

 返事のないアドレスには二度と誘いは来ない。


2003年5月6日(火) 掲載
日刊建設工業新聞コラム「所論/諸論」より(1年間連載したものに一部加筆訂正)


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